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BLUE ROSE

アバウト・シュミット



アメリカ、いえ世界で“ジャック・ニコルソン過去最高の演技”とマスコミが絶賛し、
一人の男の喜怒哀楽を微妙なさじ加減で演じ、
ゴールデン・グローブ賞最優秀主演男優賞を受賞、
さらに、アカデミー賞主演男優賞にもノミネートされました。
ジャック・ニコルソンが今回演じている主人公は、
ありがちな定年退職後のサラリーマン。
物語は、ウォーレン・シュミットの退職する数秒前のカウントダウンから始まります。
“人生終盤ドラマ”とでも言いましょうか・・・。(笑)
一見、コメディドラマなの?と思える展開ですが、
リアリティーのある人間ドラマです。


≪ストーリー≫
ウォーレン・シュミット、66歳。
一流と呼ばれている保険会社で計理士としてまじめに働き、良き同僚を持ち、
それなりのポストに就くまでのキャリアを地道に積んできた。
長年連れ添った妻と溺愛する一人娘と、幸せそのものの家庭生活も送ってきた。
若い頃に抱いていた大いなる夢の実現とはならなかったが、
男として誇るべき人生を築いてきたという確信を持っていた。
ウォーレンは信じて疑わなかった、退職するあの日までは・・・。
退職の翌日、ウォーレットがボーっとTVを観て目に止まったのがチャリティ団体のCM。
「1ヶ月22ドル、1日72セントの善意が子供たちを救うのです。」
後日、アフリカの小さな少年の写真が添えられた団体からの手紙が届き、
養父(スポンサー)として、その少年宛てに身近なこと手紙を書き始めるウォーレン。
定年退職、妻との永遠の別れ、娘の結婚と一気に人生の三大転機を迎えるウォーレン。
仕事をリタイアしたウォーレンは、そんなさまざまな出来事を通して自らに問いかける。
“自分は一体何者なのか?”
“今まで築いてきた人とのつながりは何だったのか?”
“自分の人生はなんだったんだ?”
人生の終盤を迎えて、これまで築いてきたものが、音を立てて崩れていきそうなウォ-レン。
余生のためにと退職前に買っておいたキャンピングカーに一人乗って旅立つウォーレン。
それは、人生で失くしてきたものを取り戻す旅。
それまでの自分を振り返り、自身を見つめ直すきっかけでもあった・・・。


最初から最後まで目が離せない・・・と言うと、目まぐるしい感じに思われてしまいますが、
どちらかと言えば、のんびりとした“間(ま)”の多い進み方なのです。
にも関わらず目が離せなかったのは、どこかで同時進行していた“想い”があったのかも・・・。
ある意味、この作品はどこにでもあるようなサラリーマン人生と言うものをテーマに
今の社会、家庭というのもを、笑いを交えながら痛烈に風刺(批判?)しているようでもあります。
人間とは、仕事とは、家族とは、愛とは、生きるとは、人生とは・・・。

今作で脚本も兼ねたアレクサンダー・ペイン監督という方を良く知らないのですが、
なんでもインディペンデント系では注目の方だとか・・・・。
1999年「ハイスクール白書 優等生ギャルに気をつけろ!」でかなりメジャーな賞をいくつも受賞しているそうです。
脚本も演出もかなりきめ細かく、かなり緻密で繊細な作品創りをされる方なのではと思います。

そして、言うまでもなくジャック・ニコルソンは演技なのか地なのかわからないほど
長年会社勤めをしてきたウォーレン・シュミットそのものに心身共に同化していました。
ちょうど、ウォーレント同じ66才のジャック・ニコルソンです。
怖~い異常精神病患者、アメコミの悪役、神経症の小説家などなど、
これまでもいろんな役柄にチャレンジしてきましたが、どれもこれもハマリ役でした。
これはもう“名優”というより“怪優”“超優”と呼ぶ方がいいかも・・・。(笑)
いくつの賞を獲ったとかなどというレベルからは完全に超越してしまっています!

共演者もつわもの揃いです。
娘役に「アトランティスのこころ」のホープ・デイヴィス。
その婚約者に「ベスト・フレンズ・ウェディング」のダーモット・マルロニー。
髪型など見た目の変化がかなりあるので驚かれませんように・・・。(笑)
婚約者の母親ロバータを演じるのが「ミザリー」のキャシー・ベイツ。
ジャック・ニコルソンとの迫力あるシーンに、すごーーーくビックリすると思いますよ!

事前にストーリー展開などを結構知っていたとしても大丈夫な作品だと思います。
どうして大丈夫なのかは、きっと観ていただければわかると思います。 (=^^=)ゞ
観終わって思ったのは、「アバウト・シュミット」というタイトルがピッタリだったって・・・。

(2003.4.24 ★★★☆☆)


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